前立腺肥大症の手術では、経尿道的前立腺切除術(Transurethral Resection of Prostate: TUR-P)が
既に50年以上もの実績があり、これまで標準的な手術方式とされて来ました。
しかし、このTUR-Pでは、電気的な切除と凝固処置が行われるために手術中には
灌流液として非電解質溶液を利用します。
この非電解質溶液が体内に吸収されると低ナトリウム血症という
合併症をおこす可能性があります。このためにあまり手術時間もあまり長く取る
ことが出来ず制限される場合があり、肥大が大きすぎるとTUR-Pでは対処できない
場合も出てくるようです。
このようなデメリットを克服するためにHOLEP、HOLAP、 PVP等のように
レーザーを利用した術式が出てきました。
TUEB方式は、バイポーラー電極を使用したアーク放電で前立腺の組織を
核出するものです。出血も少なく、肥大部分を核出するもので、
ミカンの内側をそのまま皮からくり抜くようなやり方です。
灌流液も普通の生理食塩水を使用するのでTUR-Pのような合併症の心配もありません。
更に肥大の大きさが100ml前後でも対応できるというもので理想的な術式だと思います。
私の場合、肥大が大きく膀胱まで肥大がせり出していたのでくり抜いた組織を
一旦膀胱内へ落として特殊な機械で細分して体外へ吸い出すことになります。
肥大が大きいとくり抜きや細分処置に時間がかかり、約2時間程度はかかるようです。
私の場合も準備時間を入れて、約2時間半程度かかりました。
しかし、麻酔もかかっていて、時間が長くでも苦痛は感じませんでした。
入院期間も3泊でした。担当医は日帰りでも可能だと言っていましたが、
万一術後の処置が必要になった時のことを考慮して3泊にしているそうです。
術後、1週間程尿道カテーテルを入れておきましたが、多少それが不便でしたが、
痛みや苦痛を感じる程ではありませんでした。
私の体験したこのTUEB方式は、正に低侵襲な手術方式でした。
組織をくり抜いた後には、カサブタが出来るようですが、術後はしばらく
ロゼワインのような薄い色の尿と共にカサブタが時々出てきました。
尿の色がロゼワインのようなら心配ないものの、赤ワインの色では
どこかで出血している恐れがあるとのことでした。兎に角術後は
スポーツドリンクを毎日2リットル以上飲んで沢山尿を出すように
指示されました。TUEB方式は、予想以上に身体に負担にならない
手術方式でした。